ポカよけの極意 第1回 ポカよけとはなんぞや

いきなりですが、「ポカよけ」とはなんだかご存じでしょうか?

これはトヨタ式生産方式を学んだ製造業の方には当たり前の知識ですが、ポカヨケとは本来工場などの製造ラインに設置される作業ミスを防止する仕組みや装置のことです。平たく言えば

「ポカよけとは、作業者が間違った手順や部材で作業を行おうとしても、それが出来ない=ポカが起きないような仕組みや仕掛けを施すこと」 です。

例えば自動車部品の組立では、長さの異なるネジを一つの部品組み立て工程で使う場合は、ネジの径が異なるように設計してあります。長いネジを入れる穴に短いネジを入れようとすると、入らないかスカスカでねじ込めない様になっています。誰が作業しても取り違えることが起きない仕掛けです。

一人で作業するタイプのプレス機では、間違って手を挟まないように両手でプレス機を操作するようにしているものや、NC旋盤加工機などが好例ですが、安全カバーを閉じないと動作しない仕掛けになっているものがあります。物理的にけがをすることがありません。

その他でもよく工場の機械にはデッドマンスイッチというものがついていますがご存知でしょうか。イネーブルスイッチとも言われて、例えば工場の機械 の操作員が操作レバーを手から離すと機械が動作を停止するようなものです。「死者のボタン」の名のごとく、操作員が倒れたらラインが止まって安全が確保さ れる、などです。これは基本的なポカよけの一種です。


このようにポカよけは作業者の安全を保持しつつ、製造ミスを防ぐために用いられています。そしてこのポカよけは工場以外の様々な場所で活用できる考え方です。何回かに分けて様々なシーンでのポカよけをお伝えしていこうと思います。