RPA(ロボットによる事務生産性改善)

事務作業は前世代の製造業

企業の事務作業の現場は未だ家内制手工業のようなものです。元原稿が紙(手書き・印字・FAXなど)で、「Webを用いた様々な入力インターフェイス」に手作業で入力していくような事務センターがいまだ日本各地や海外のオフショアセンターで多く稼働しています。

RPA(ロボティック プロセス オートメーション)

しかし紙のインプットをエクセルなどで電子化して事前に整理することで、エクセルを参照しながらロボットが「Webを用いた様々な入力インターフェイス」に入力していく、エラーなどあれば迂回するなど強調制御させながら高速に入力していくことが可能となりました。最近取り沙汰されているRPA(ロボティック プロセス オートメーション)です。

当社の事例では、10ー15分かかる入力作業(入力7分~、確認作業3分~)を電子化してロボットに代行入力させることで、全体の作業をわずか3-5分と、1/3の短時間で終わらせる省力化に成功しています。(入力は数秒+確認作業3分~)

人は高度な作業に

入力のような単純労働長時間集中させる仕事は人間に向いておらず、そうした作業環境では退職率も高まります。単純作業は機械が、人間はチェック作業や改善作業に注力することで労働環境の改善・退職の抑止・より高度な領域に人材を活用することができます。

RPAの弊害

このようにRPAは、ビジネスプロセスの効率化やコスト削減を目指す企業にとって有望な技術ですが、導入時には注意すべき弊害も存在します。以下では、RPA導入における弊害とそれらに対処するポイントを解説します。

1. 使いこなせず逆効果になる場合

RPAの効果を十分に発揮できず、逆に業務効率が低下することがあります。以下はその対策です。

  • 十分な事前調査: RPA導入前には、業務プロセスの詳細な分析が必要です。適切なタスクを選定し、効果的なワークフローを設計してください。
  • 継続的なスキル向上: RPAツールの操作スキルを向上させることが重要です。適切な研修やサポート体制を整え、スタッフのスキルアップを図りましょう。

2. トラブルの誘発

RPA導入によって新たなトラブルが発生する可能性があります。納期前日の夜に処理を開始し、朝出社したら全てのデータで処理を間違えていたなどがあれば、大変な事故になります。

  • 入念なテスト:様々なデータを食べさせることや様々なユースケースを用いることで充分なテストが必要です。
  • 適切なエラーハンドリング: RPAツールにはエラー処理機能があります。これを適切に設定し、トラブルが発生した際に迅速に対応できるように処理を設定しましょう。
  • 定期的なモニタリング: RPAプロセスの監視を定期的に行い、問題が発生した際に速やかに対処できるようにしましょう。

3. コストが逆に高くなる

想定外のコストが発生し、RPA導入がコスト増に繋がることがあります。以下は対策です。

  • コスト効果分析: 導入前には、RPAの導入コストと効果を慎重に分析しましょう。適切なツール選定や運用プランを立てることが重要です。
  • 段階的な導入: RPAを一気に全社的に導入するのではなく、まずは小規模なプロジェクトから始めることで、リスクを抑えつつ効果を確認できます。

4. 社員の抵抗感

RPA導入により業務が変化することで、社員の抵抗感や不安が生じることがあります。以下は対策です。

  • 社内コミュニケーション: RPAの目的や効果を社員に理解してもらうために、十分なコミュニケーションを行いましょう。また、社員の意見や懸念を聞くことで、より効果的な導入が可能になります。
  • スキル転換の支援: RPAにより自動化される業務がある場合、社員のスキル転換を支援しましょう。新しい役割やスキルを学ぶ機会を提供することで、社員のモチベーションを維持できます。

5. セキュリティとプライバシー

RPA導入により、機密情報や個人情報が漏洩するリスクがあります。以下は対策です。

  • アクセス制限: RPAツールのアクセス権限を適切に設定し、情報の取り扱いに注意を払いましょう。
  • セキュリティポリシーの遵守: RPA導入に伴い、企業のセキュリティポリシーを遵守し、定期的なセキュリティ監査を行うことが重要です。

6. 依存しすぎるリスク

RPAに過度に依存することで、他の改善手法が見過ごされるリスクがあります。以下は対策です。

  • 柔軟なアプローチ: RPAだけでなく、他の改善手法も検討しましょう。最適なソリューションを選択することで、効果的な業務改善が実現できます。

これらの注意点を考慮し、RPA導入による弊害を避けることができれば、効果的な業務改善が期待できます。適切な計画と継続的な改善により、RPA導入が成功へと繋がるでしょう。