日本の労働生産性の諸問題

1 日本の労働生産性

日本生産性本部によれば 2013年度(年度ベース)の日本の名目労働生産性は764万円。実質労働生産性上昇率は+1.4%だったが、2014年度に入ると2四半期連続でマイナスに転じています。OECD加盟34カ国の中では第22位。順位は前年と変わらず、日本の労働生産性は他国の中でも低いと言っていい状態です。
計算方法は

労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額) = 付加価値額/従業員数

で、従業員数は1FTEを月間200時間で換算(企業の総労働時間/200時間=従業員数)しており、これでパート社員なども含めて同じ基準で計算することが出来ます。

2 日本の生産性が低い原因

2-1 無駄な残業や有給休暇消化率

日本の生産性が低い原因でよく言われるのが、日本人は休暇を取らない、無駄な残業をしている、といったことです。他の社員が出社しているのに、残業しているのに、私が休むのは罪悪感が有る。残業手当が貰えない。様々な事情が働き、日本人の労働時間が上振れしていることは帰納法的には納得の行くところです。このように労働時間が上振れして生産性が低くなる事象は、短期的な労働力調整の波を巧く乗りきっていないという言い換えが可能です。

2-2 解雇規制

さらに中長期的な労働力調整の波を巧く捉えられていないのが雇用の問題です。
日本の労働市場の流動性が低く、都度都度の企業の状態に応じた最適なフォーメーションをリアルタイムで取るためには解雇規制が厳しすぎます。企業は今不要な人材でも解雇できず飼い殺しになり、それが日本の生産性を押し下げています。

2-3 女性活用ベタ

また、多くの企業で女性活用ということで出産後の復帰を強く促していますが、出産前は営業のスタープレイヤーでも出産後は無残業・時短勤務が余儀なくされるため、人材ニーズがそもそも無い管理部門に配属されてお茶を引いている状態をよく見かけます。それではモチベーションが持たなくなると、なにやら高尚な名前の生産活動と関係ない女性活躍プロジェクトなどのリーダーにさせられてしまっています。何も利益を生みません。

工場などの製造現場での非熟練工の世界では業務請負や人材派遣により変動費化がある程度進みましたがホワイトカラーは変動費化出来ていません。一方で採用難も続いており、この解雇規制と採用難の二つの問題が続く限り名目生産性は低くなります。