生産性改善の個人心理

日本の企業で生産性が向上しない理由には、いまだ終身雇用制が当たり前に存在していて、無駄なおじさんを食わせているであるとか、染み付いた残業体質であるなどいくつかあると思いますが、個人の業務効率性と組織のそれについて考察していみたいと思います。

日本人が生まれて初めて高い生産性を発揮するのは、夏休みの最後の数日で宿題をやり終える時です。夏休みの殆どの期間中、やるべきであることはわかっていても出来ない、なんとかなるさとギリギリまでサボって時間がなくなる。ギリできるか出来ないかのタイミングで、仕方ないと腹をくくって始める。猛然とやってなんとかやり切った。

そういう経験がある人は多いでしょう。でもそこに注意が必要です。ヤリきった時の達成感がドーパミンを生み、脳に強烈な記憶として残ります。そしてその後の人生でも同じようなことを繰り返させます。社会人になってもギリギリ体質になってしまうのです。

このような強烈な体験に打ち勝つのは大変ですが、やり方はあります。ギリギリの締切に間に合わせたときの達成感ではなくて、こんなに手早く終わったという達成感を得るようにするのです。締切なんて学校や会社から与えられた馬鹿らしい区切りでしかありません。そんなものは見下して無視すればいい。と言っても締切に遅れるという意味ではなく、いかに早く終わらせるかにコミットするのです。常人なら1週間掛かる企画書を3日で仕上げた。8時間かかる作業が4時間で終わった、こうしたことを達成したときの達成感も、ギリギリ達成の場合と同じく強力です。それを体験すると、他の宿題でも他の業務でも手早く終えることが目的化します。目的化が正しいかどうかは異論が残ろうかと思いますが、こうのようなやり方はひとつの対策になると考えます。