さて、世の中の企業ではミスをどうやって潰すかが毎日毎日何千何万と問われていることと思います。頻出するミス、致命的なミスを減らそうと日々努力していることと思います。
例えば何かの入力ミスや転記ミスであれば、「ダブルチェックだ」「トリプルチェックだ」「ツールを入れよう」などと作業ミスを早期に発見して修正する動きを取ることが通例だと思います。これはこれで有効だとは思うのですが、ミスが何故起きるかの構造を把握することが大切です。
ミスとは、様々な要因が重ね合わさって初めて起こるもので、作業者の動作のミス、のようにミス発生のt=0から考えてはいけないということです。
ミスの構造
>作業がやりづらい
>十分にトレーニングされていない
>ミスの余地が大きい
>ミスの発生
>ミスを起こしても自分で発見しづらい
このような構造であるのに、ミスの発生だけにフォーカスしてしまうと、ミスを撲滅することが遠のいてしまいます。
作業がやりづらい
例えば入力業務であれば元原稿が手書きなので判読しづらい、元原稿が机の上でモニターとの距離があって視線移動が大きい、入力端末が古くて反応が鈍い、キーボードが安物で入力ミスを誘発しやすい、などなど様々な作業のやりづらさが無いでしょうか。それを改善していくことでミスの発生率を下げることが出来ます。
組み立て業務であれば、似ている部品があって確認で手間取る、部品箱が遠くて部品を組み立てるまでに手間取る、ネジの長さが2種類あって間違えやすい、細かい部品が多くて作業に手間取る、部品ごとに締め付けトルクが違う場合に作業者が適正トルクのセットを毎回し直さなければならない。
このようなやりづらさがあれば改善しましょう。
十分にトレーニングされていない
効果的なトレーニングプランと、合格テストや合格判定が必要です。とりあえずやってみさせて、一応作業が完了できるようになるとデビューさせる、のような雑な育成をしているとミスが生じても仕方有りません。
ミスの余地が大きい
例えば入力業務であれば、半角で数値入力が求められるフィールドに全角文字が入力できるようになっている、最大文字数が決められているがそれ以上の文字列が入力できるようになっている、のようなことがあげられます。
組み立て業務であれば、異なる部品でも問題なく取り付けてそれっぽく完成してしまう、ネジの長さが2種類あるが取り違えても問題なく取り付けられてしまう、締め付けトルクを間違っても気づけない見てもわからない、のようなことがあげられます。
ミスを起こしても自分で発見しづらい
例えば入力業務であれば、先程と重なりますが、入力フィールドの設定がされていないので、文字数オーバーや文字種の間違いを機械が判定してくれない、誤字脱字を指摘するツールを導入していないので発見するためにはアナログのチェックしかない、のようなことがあげられます。
組み立て業務であれば、これも多くが先程と重なりますが、部品やネジを間違えても作業終了出来てしまうので自分で気づくチャンスは取り付けるときだけになっている、のようなことがあげられます。