とある企業の事務センターの業務効率アップに携わったことがあります。残業が多く従業員の不満も高まっているというその職場は、営業組織のサポート部隊とのことでした。一方でz産業が多い割にお局様格のベテラン派遣さんは、昼間っから喫煙室に入り浸っている、という悪いうわさもミミにしました。
そして実際職場に伺ってみて、現場のブリーフィングを受け、どのような調査が好ましいか調査設計を行い、クライアントの了解のもと幾つかの調査をしたところ、驚きべき事実がいろいろわかってきたのです。
いくつか有る中での一番の驚きは、この会社の就業時間でもある10時~18時の時間帯のスタッフの稼働時間105時間(15名×7時間)のうち、7割以上が業務を行っていないアイドルタイムだったのです。しかし18時以降はスタッフは減るものの、残業が発生し、調査した週の平均で1日15人時ほどの残業が発生していました。画讃すると1日120人時のうち実稼働は45人時で、稼働率は4割に満たない状態でした。お局様格のそのベテラン派遣さんは昼間はゆっくり過ごし、夕方からはバリバリと仕事をこなしていることもわかりました。
何故こんなことが起こってしまったかを調査・分析した結果、以下のことがわかりました。
- 営業部からの事務作業依頼を受けてからの業務開始なので、営業マンが帰社後の夕方からの依頼が常習的にある。
- 営業部とのルール決めが無く、なる早で、今晩中で、という無理な納期設定がされるケースがある。
- 納期をもっと早く出来ないかとせがまれ、分析不十分なまま、昼間の通常の就労時間帯のスタッフを増員。当然夕方からの業務には対応できず、昼間はお茶をひく姿が休憩室で散見されるように鳴った。
- 兼務の管理者が片手間で見ていたため、こうした課題に気づかなかった。
最終的には4割のスタッフを減員しても納期に問題起きないシミュレーションが出来ましたので、そのようにレポートを作成いたしました。実際に減員するには契約に応じて異動・配置転換・契約満期終了などの手段を取りますので、半年程度かけて徐々に減員を進めることになりました。
業務が逼迫しているからといって、単に増員すれば解決できるものではありません。適切な現状把握・分析に対して的確で有効な対策を当てることが必要です。
また、事務センターを軽視して適切な業務管理を行わないと、このようなことが容易に起こりうるということもよくわかりました。