経理部の伝票処理にせよ、納品のための生産業務にせよ、固定キャパシティの作業部隊に対して、作業の元となる部材がコンスタントにやってこなければ作業員や機械の稼働率が低くなってしまい、無駄なお金を費やすことになってしまいます。稼働率が低い部門は企業業績に対しての足枷です。
稼働率が低いことを改善するための幾つかのアプローチのうちで有名なものは「カンバン方式」と言われるトヨタ式生産方式の中核をなす方法です。稼働率を高めるにには、精算に必要な部材の在庫量の最適化が重要です。
生産工程では必要な部材が不足すると生産がストップしてしまいます。それなら部材を大量に抱え込もうと考えたとしても、置く場所も無駄になりますし、大量の部材が生産されるまで待つこのでは意味がなく、現実的ではありません。カンバン方式では、部材が減少すると、部材を生産するひとつの前の工程に対して部材をいくらいくら生産して送ってくださいと要求する看板を送るやり方です。部材が減る毎に看板を送る仕掛けをすることで、適切な部品の在庫量が自律的に維持できるという仕組みです。
部材の流入にムラがあるけれども納期は絶対守りたい、そんな工程がある場合、私たちはどうしても多めの作業者や多めの機械を導入してしまいます。結果作業員や機械の空き時間が発生してしまいます。しかしそれは最終手段としてとっておいて、まずは部材流入のムラをなくせないか知恵を凝らすことが必要です。機械を24時間動かし、作業員は8時間の三交代にすれば空き時間は全くありません。日本の自動車が世界を席巻したのは、カンバン方式や25時間生産体制などを実現した「生産の高度化」が大きく寄与したことは間違いないでしょう。