BPOセンターの現場ツールのリスクと回避方法

BPOセンターが、事務処理の効率向上のための自動化ツールや、プロセスマネジメントのためのツールを作ることが有る。どちらも結構な話だが、いくつか注意点がある。仕様書・マニュアルを作ることが1つ目だ。2つ目は、作成した仕様書やマニュアルなどのドキュメントマネジメントだ。

前職でプロセスマネジメントを行っていた10年以上前におもしろい事例に遭遇したことがある。Webサイトのオペレーションで、どうも当方からWebサイトに納品した画像の質が悪い。当方は着任間もなくであったため、各チームの業務点検をして発見したことで、まだクライアントからクレームは来ていなかった。

それはとある求人情報検索サイトの検索結果画面に使われるサムネールに使われている画像で、それがどうも画質が粗い。作業を主に担当したのはアルバイト契約のオペレーターで、その女性の空き時間に作業手順を確認して驚いた。その女性はシステムで縮小処理されたJpeg画像のフォルダを開き、フォトショップで開いてはGIFで保存し、再度そのGIFを開いてJpegで保存し返していた。

画像のことに詳しくない方向けに一言説明すると、Jpegはフルカラーなのだが、Gifは255色しか使えない代わりに、ファイルサイズが軽くなる。昔のWebサイトは1ページを軽くするためにGifで良さそうな画像はGifにしていた。

それに気づいた私はすぐにその作業を改めさせ、GIF変換処理をしないように”指導”した。指導しただけでなぜかその工程にはマニュアルはなく、引き継ぎノートが有るだけであった。なぜそんな処理をしているのか質問したが、そのオペレーターは「そのように引き継いだ」と言うばかりでそれ以上の情報はなかった。

事の経緯は明らかでないが、私がその時想像したのは以下の流れだ。

そのチームは当初JPEGの縮小処理とGIF化を行っており、GIF納品をしていた。(2000年以前の話)

ブラウザや通信環境の改善でGIF納品する必要がなくなり、JPEG納品するように依頼があった。

それが直接オペレーターにオーダーとして伝わり、Jpeg→GIF→Jpeg という解釈がなされ、オペレーションが変更された

オペレーションの変更管理する仕組みがなく、上長のレビューを受けずに作業手順が変更されたということだ。

このケースから学べることはいろいろある。まずはツールの仕様書、作業の手順書やマニュアルを整備しておくことだ。これがなければ話にならない。得てしてこうしたドキュメントは一回作った後放置さ れ忘却されるのがオチだが、作業マネージャーや品質担当部門の作業点検などをルーチンで行っていればそうしたことは防ぐことはできる。

次は前述の変更管理の仕組みをしっかり作ることだ。クライアントからの要請で作業手順や納品物を変更することは多々ある。その度に手順書を書き換え、上長や品質担当部門のレビューを受け、テストをしてからリリースするのだ。これを怠るとこういうことになる。

三つ目は少し細かいが、、ツールに仕様書や手順書に目的欄を設けておくことだ。目的欄にはクライアントからの依頼でこういうものを納品することになったであるとか、これこれの作業のこの部分をバッチ処理するためにシステム化したとか、そういうことを記載する。

今回お話したGIF納品の手順書であれば、Webサイトの一覧画面の画像を軽くする目的で、GIFかしたサムネール画像を納品、Webサイトで掲示する、と記載すれば良い。

ここの手順が変わった時に、同目的欄を書き換えるかが議題に上がれば、Jpeg→GIF→Jpegというマヌケな処理手順を防ぐことができたろう。