近年の園バスでの園児置き去り事故を受け、多くの対策が提案されています。こうしたミスを防ぐにはミスを起こすメカニズムを知らなければなりません。どんなミスや事故でも共通する構造があります。
1.何かの作業を行っている
→2.ミスが起きる余地がある作業がほとんどなので、確率的にミスはいつか起こる
→3.ミスが起きる
→4.発見が遅れる
→5.対策が上手でなく被害が拡大する
再発防止策を考えても上記のプロセスを考慮していないと再発防止は不十分なものとなります。園児置き去りを例に取って説明します。
1.でミスを抑止するには園バスを使わないことです。使わなければ置き去りも発生しませんが、まあそれは難しいですよね。
2.目視点検である以上、数え間違い、見逃しや目視作業の忘れは発生し得ます。目視作業を確実に実施するための工夫が必要ですし、技術的な装置も役立つでしょう。
3.そしてミスが起きます。1.2.を徹底的にやると発生確率は最小限になりますが不十分だと頻繁に発生します。いま日本の園バスはまさにこの状態なのでしょう。
4.発見が遅れると真夏はとくに致命的です。置き去りが発生したとしてもそれを早く発見するための仕掛けが必要でしょう。
5.発見が遅れて園児の体調が悪い場合の対策もしなければなりません。経口補水液や救急セット、AEDなどがそれにあたります。
これらを考慮して以下で本記事では、置き去り防止対策をカテゴリ別に整理し、それぞれの特徴と実装方法について考察します。
乗降時の手動確認
最も基本的な対策として、人の目での確認が挙げられます。
- 乗車・降車時に、ドライバーや保育士が別々に園児の数を確認し、台帳に記入する。
- 送迎終了後、ドライバーがバスの後ろから前に歩きながら、忘れ物や園児の置き去りを確認する。
- 施設到着時に、再度人数や身元の確認を行う。
技術的な装置
IT技術を活用して、ヒューマンエラーを最小限に抑える方法も考えられます。
- 座面センサーを用いて、座面上に園児がいる場合、アラートを出す、バスを施錠できなくする、または施錠しようとすると警告音が出る。
- カメラや赤外線カメラとAIを組み合わせて、園児の置き去りを自動で検知する。
- バスの最後部に「置き去り確認ボタン」を配置し、そのボタンを押さないとエンジン停止や施錠ができなくする。ドライバーは必ずバスの最後部にいくことになる。
- 車内のあちこちに園児でも理解できるイラストを用いたヘルプボタンを配置し、走行中にそれを押すとドライバー付近で警告音が鳴り、エンジン停止して施錠されているときは外部で大きな警告音が響き渡る。
熱中症予防
もし置き去りが起きてしまったときに園児の健康を守るための熱中症対策も重要です。
- 車内温度が40度以上になる場所には駐車しない。
- 園バスの窓に反射フィルムを貼ることで、車内の温度上昇を防ぐ。
- 救助した段階で使用するため、園バス内に救急セット・AED・経口補水液を常備する。
これらの防止策や発生時対策を行うことで子供の命を守ることができます。