事務作業を請け負うアウトソーサーにとって、作業ミスは大敵です。依頼主様との定例会議などで、先月のミス率を指摘され、その改善の対策を求められることもよくあるでしょう。
よくある依頼主様への回答で、実は意味をなさないのがこのような回答です。
「気が付きませんでした」
「作業者が失念しておったようです」
「全員に周知徹底させます」
「気が付きませんでした」
これはミスを起こしたことを作業者自身が気付かなかったということです。
「作業者が失念しておったようです」
これはなんらかの手順を失念して飛ばしてしまったり、作業の手順を失念して異なる作業をしてしまったのでしょう。
「全員に周知徹底させます」
これは依頼主様への対策の提示になると思います。徹底させるので今後ミスはいたしません、減らします、との意思表示でもありましょう。
残念ながらこれらの回答は、改善に向けて役に立たないその場の言い訳に過ぎません。現場の品質管理責任者が、作業ミス失敗の本質を見極めておらず、表面的に回答するとこういうことになります。
トヨタではなぜは5回繰り返す、という習慣があります。
例えば異なる伝票に入力ししてしまうミスがあったときこう掘り下げることが出来ます。
なぜ間違えましたか?
「異なる伝票を手にとってしまいました」
→それはなぜ?
「違いに気が付きませんでした」
→それはなぜ
「色が似ていたので」
これで終わってしまったとしても、伝票の色や形を変える、配置を工夫する、などの工夫はできるでしょうから依頼主企業様への対策の回答としては及第点にはなりますが、まだ掘り下げが足りません。
なぜミスに作業者自身が気付けなかったのか
→作業者の練度が低かった
→似た色の伝票があることの注意喚起をすべきだった
→自己チェックのプロセスが抜けていた/形骸化していた
なぜミスした伝票がそのまま流れてしまったのか
→次の工程で検査していなかった
このような気付きがあれば対策も良い物になるでしょう。