タレントマネジメントシステム考

どういう人材がどの部門・役職で活躍できるか、稼働できるかの判断となるものがこのタレントマネジメントシステムです。アメリカでは一般的になっているタ レントマネジメントですが、日本での導入例はまだ少ないです。またこの仕組は、タレント=才能だけではなく、経験や教育などによるability=能力も 含んで管理するものです。

とある大手企業の例ですが、本業とは縁遠い領域で一部の有志で始めた社内ベンチャーがうまくいき、これは目が有 りそうだと経営層が判断し、規模化しようと社内人事で人材を投入したところ、ことごとく人材がミスマッチを起こしました。スキル・経験・モチベーション全 てダメ。中途採用を進めるも採用する側の人材の見立ても悪いし既に手遅れ。競争相手のベンチャー企業にサービスの質や利益でも後塵を拝し、結局そのビジネ スは閉じることとなりました。

本業一本槍であれば旧来型の人事管理でもいいのでしょうが、事業環境や競争環境が変わればそれに応じた柔軟な人事や人材発見が必要になります。人材不足の折に社内でミスマッチを起こすか、適材適所を実現するかは大きな違いをもたらすでしょう。

で これはそもそもは米軍で用いられている考えが背景にあります。急遽派遣部隊を編成する場合、人選が重要です。地上部隊の兵士に求められるのは格闘・小銃・ 重砲・携帯ミサイル・爆破・地雷除去・狙撃・偵察・車両運転・整備・無線・救命などと様々ですが、全てを一流にこなせる兵士を育成は出来ません。

そこで米軍の兵士は、様々なプログラムで教育訓練を受けてそれぞれでスキル認定されます。それが人事システムで管理され、いざ部隊編成の時に参考にされます。狙撃は2人、爆破は今回不要だが、地雷除去は全員ね、などです。

つま柔軟に組織を現状に適合させていくことが必要な、事業分野が多岐に広がり、それぞれで活発な競争が起きている企業ほど必要ということです。

ところが導入については難しい側面があります。能力を評価する基準です。これでこけると皆コケるというくらいここが重要で、これさえできればシステムは極論でエクセルでも大丈夫といってよいでしょう。