シリコンバレー銀行(SVB)の破綻が金融不安を引き起こしています。このような状況において政府や中央銀行が取るべき政策を、短期(すぐやるべきこと)と中長期に分けて検討します。
短期的対策
1. 一時的な資金供給
中央銀行は、金融市場の安定を図るために、短期的な資金供給を行うべきです。これにより、市場における流動性が確保され、金融システム全体の安定が図られます。資金供給の規模はSVBの総資産額(例: $100億)の50%程度が適切だと考えられます。
また、必要に応じて他の金融機関に対して緊急融資窓口を設置して迅速に資金を供給すべきです。これにより、金融機関同士の信用不安が拡大することを防ぐことができます。
2. 預金保険機構の活用
政府は、預金保険機構を通じて、SVBの預金者を保護すべきです。預金保険機構は、SVBの預金者が預けている資金を補償する役割を果たします。預金保険機構による補償額は、預金者1人当たり最大$100,000程度が妥当だと考えられます。
3. 金融機関の健全性確認
中央銀行は、SVBの破綻が他の金融機関に波及しないよう、金融機関の健全性を確認することが重要です。そのために、ストレステストを実施し、各金融機関の資本充実度やリスク管理体制を評価します。また、必要に応じて、資本増強やリスク管理の改善を求めるべきです。
中長期対策
1. 金融規制の強化
SVBの破綻を受けて、金融規制の強化が求められます。具体的には、金融機関の資本規制の見直しやリスク管理の強化が必要です。また、シャドウバンキングやフィンテック企業に対する規制も検討すべきです。定量的な目安として、金融機関の最低資本比率を現行の8%から10%に引き上げることを提案します。
2. 金融システムのリスク監視強化
金融システム全体のリスクを監視する仕組みの強化が必要です。中央銀行は、マクロプルーデンシャル政策の枠組みを整備し、金融システムに潜むリスクを早期に察知し、適切な対策を講じることが求められます。具体的には、金融機関間の相互リスクや金融市場のリスク要因について定期的に分析し、報告することが重要です。
3. 整理・再生手続きの整備
金融機関の破綻時に迅速かつ効率的に対応できる整理・再生手続きの整備が求められます。政府は、金融機関の破綻に対応するための法律・規制を整備し、破綻時の手続きや責任範囲を明確にすることが必要です。特に、整理・再生手続きに関する法律や、金融機関の破綻に対する監督・管理機関の権限・責任を定める法律を整備することが重要です。
4. 金融監督・管理機関の能力の強化
法制度のみならず、金融機関の健全性を維持するために、金融監督・管理機関の能力と資源を強化することが必要です。具体的には、機関の人員や予算を増強し、専門知識や技術を持つ人材を確保・育成することが求められます。また、監督・管理機関が金融機関のリスク管理や内部統制の評価・監視を効果的に行えるよう、継続的な監査や検査体制の強化が必要です。
5.早期警戒システムの構築
金融機関の破綻リスクを早期に把握し、必要な措置を講じられるよう、早期警戒システムを構築することが重要です。これには、金融機関の財務状況やリスク状況に関する情報を定期的に収集・分析し、潜在的な問題がある金融機関を特定する仕組みが求められます。
6.破綻処理手続きの明確化
整理・再生手続きにおいて、破綻した金融機関の資産・債務の処理方法や、預金保護制度の適用範囲などを明確にし、関係者に対する情報開示を円滑に行えるよう整備が必要です。また、破綻処理における関係者間の連携や調整を円滑に行う仕組みを構築することも重要です。