寿司屋で10年修行するのはバ◯というホリエンモンさんは正しいのか? ハイ正しいです。

以前ホリエモン氏が、寿司屋で10年修行するものは馬鹿だと言って賛否両論が巻き起こったが、製造業としてみれば確かに10年修行は愚の骨頂で、効率的なトレーニングプログラムであれば2時間×20回程度で一見プロ並みに握れるようにできるだろう。

ただしそれには握り方・炊き方など標準化(手順・分量・時間などを守れば誰でもそれなりに炊ける)がされていることや、それでも付き合う仲卸がいることが大前提だ。

確かに魚の目利きは無理かも知れないがそれは仲卸に任せれば良い。魚を捌くまでをやってくれる仲卸がいるようだから捌くのも任せ、おろされたものやマグロなどは柵(サク:長方形に切りつけられた状態)で店に納品してもらえば良い。コハダを締めるのは難しいかも知れないが、言ってもコハダの脂のノリと塩と酢と締め時間の変数しか無い。誰かがそれなりに標準化したら真似るだけだ。

ただしこれ現実性でいうと、いい仲卸と付き合うのに10年通う必要がある的な業界的に古い体質というのはあるだろうからそれが弊害になるのであれば机上の空論では有る。

天ぷらの場合はどうだろう。天ぷらは好きでよくカウンターで職人の動きを見ているが、多分俺でも工夫すれば出来そうだ。

出来そうだというと「やって見ろや!」とプロに切れられそうだ。確かに同じ条件なら無理だ。特に高級天ぷら屋はサイマキ海老をレアで仕上げる。あれを素人が真似するのはなかなか難しい。

でもちょっと待ってくれ。天ぷら職人は揚げるときに油の温度や仕上がり状態を音や気泡のサイズなどの職人の五感で測っているようだが、それが駄目なんだ。おれならやらない。

タネの温度、タネの厚みや直径、いつも同じ衣の状態を保った上での衣の温度や重量、揚げ油の初期温度~揚げ終わるまでの温度変化、揚げ時間、これらを計測して、諸条件が変わることが必然ならばそれも加味した標準作業を決めておいてそれを再現するだけだ。同じことをやれば同じ結果になる。

ただ中華の鍋振りだとこうは行かない。あれこそは職人技で代替できる機械でもない限り私には無理だ。

テレビでたまに見かけるスーパーうどん職人はどうか。「その朝の気温や湿度、使う小麦粉の状態で水や塩分量を変える」と言っているが、俺に言わせれば諸条件が変わり過ぎ。変わらなければ同じ作業で良いはずだ。

一定の温度湿度、同じ状態の小麦(温度・水分含有量)でやれば、小麦粉を変える段階で調整してあとは同じ環境で同じ手順でやるだけだ。

これは漆職人などさまざまな日本の伝統工芸にも当てはまりはするが、漆みたいな自然で採れた希少なものの性質の揺れに対応するのはだんだんと難しくなってくるだろう。