自動運転車両の進化と新たな課題:交通事故時の救護義務

いま自動運転車両の技術が進化し、いまだレベル3中心なれど、テスラなどを筆頭に私たちの生活に広く浸透し初めてています。しかし、これらの車両が交通事故を引き起こした際の救護義務に関しては、まだ明確なガイドラインが確立されていません。

現行の法律と自動運転車

日本の道路交通法では、交通事故が発生した場合、関与したドライバーには救護義務があります。しかし、完全自動運転(レベル5)の車両では、人が運転を担当していないため、この法律の適用が困難です。乗員に義務を貸すことも可能かもしれせんが、乗員が運転に介入するプロトコル実装が必要ですね。そして乗員がいない状態でも走行も想定しないとなりませんので、いずれにせよ単独事故でないのに救護する人が近くにいない事故が発生するということになります。

技術的な制約と法的な課題

自動運転車は、交通状況を認識し、応答する能力を備えていますが、現在のところ、事故の被害者を物理的に救助する能力はありません。これは、自動運転車技術の限界であり、多くの課題を引き起こします。救護できずに死んでしまったら誰が責任をどうやって取るのでしょうかという民事刑事の法的な問題も含まれます。

たとえばこうです。自動運転車輌で人間を乗せずに山間部を移動中、やってきたオートバイや自転車と接触して相手の乗員が崖から転落しました。崖下には意識も定かでない被害者がいるだけで他に人間はいません。単独事故と同じです。自動運転車輌は事故を検知することまではカメラやマイクで察知可能かもしれません、崖下に人が落ちたこともカメラで見られるかもしれません。ケースによっては事故の衝突で外部カメラが損傷してしまったり、画角から外れてしまえば負傷者の行方はわかりません。推察できたとして崖下を覗いて確認する能力は有りません。そして負傷者が亡くなってしまうかもしれません。

解決策として考えられること

例えば、自動運転車が事故を検知した場合、自動的に救急車や警察に通報するシステムを導入することが考えられます。これは一部の車輌(やアイフォンなどでも)では実装されつつあります。また、リモートで車両を監視し、必要に応じて介入できるシステムの開発も求められます。道路に監視カメラ網があって、リアルタイムで監視することも技術的には不可能ではないでしょうが、閑散地にその投資をする経済的合理性を考えると非現実的でしょう。また、近くで運転している人間のドライバーに、負傷者の確認をお願いするような、そのエリアを走行するすべての自動車が連携する統合制御という道もあるでしょう。

今後の方向性

自動運転車両の更なる発展には、単独車輌技術革新だけでなく、車社会全体の自動化という社会インフラの進化が必要なのかもしれません。それと両輪で法律や倫理の面での進歩も不可欠です。事故発生時の救護義務に関する明確な規定が必要であり、これは自動運転車の開発者、法制度の専門家、そして社会全体の協力によって達成されるべきですが、まあなかなか遠い世界のような気もしますし、ことによると高速道路に限って言えば近い未来かもしれません。