人材枯渇に備えよ、業務最適化の必要性

1988年、ふるさと創生事業と銘打って当時の竹下内閣が地域振興のためにすべての地方自治体に1億円ずつ配ったことがありました。使途が自由だったため自治体によっては箱物を建てただけでムダな出費だったという批判も受けました。そうした反省も踏まえてその後の地方振興においては、単なる箱物ではない、仕事を作りお金を落とす工場や事務センターの地方誘致が再認識され、補助金もあって多くの事業所が全国各地開設されました。

しかし開設当初から従業員が確保できずに都市部住民が山あいの過疎地に自動車通勤するような無理な地域振興もありました。東北のとある県では都市部から峠を越した隣村に工場を誘致した結果、冬になると、都市部では除雪されているものの峠が除雪されないため、都市部の従業員が出勤できず操業停止するという冗談のようなことも起きました。これは一例ですが、その後も地方の過疎化と人口減少は続き、従業員の確保がままならず、撤退した事業所が相次いでいます。

都心のコンビニにしても地方の事業所にしても、これからの人口減少社会では従業員の確保が長期的に可能な地域もしくは手法を確保して事業所を作らないとならないのです。人手不足倒産という言葉がありますが、まさにこれからの事業の持続可能性=サステナビリティは従業員確保により大きく依存するようになるのです。いくら地域振興に自治体が努めてもマクロで人が減っていくことは食い止められません。少子化によって従業員確保の努力はこれからずっと続く日本社会の課題となったのです。